事業推進リーダーとは|必要な能力と育て方を解説
事業推進リーダーとは、経営の意図を理解し、事業課題を自ら定義して、関係者を巻き込みながら実行まで持っていける人材のことである。管理職や専門職とは異なり、「決められたことを回す」のではなく「何をやるかを決めて、動かす」ところに役割がある。多くの企業で不足しているのは人材の数ではなく、この推進力である。
事業推進リーダーとは何か
事業推進リーダーとは、経営の意図を理解し、事業課題を自ら定義して、関係者を巻き込みながら実行まで持っていける人材である。新規事業、営業改革、DX推進、マーケティング強化、組織改革といったテーマを、指示を待たずに前に進める。近年はDX推進の中でも生成AIの活用を軸に進める領域が増えており、私たちはこれをAX推進(AI Transformation)と呼んでいる。役職名ではなく、機能を指す言葉だと考えるとわかりやすい。
似た言葉との違いを整理すると、輪郭がはっきりする。
| 役割 | 主な問い | 成果の置き場所 |
|---|---|---|
| 管理職(マネージャー) | 決まった目標をどう達成するか | 担当組織の数値 |
| 専門職(スペシャリスト) | 自分の領域でどう質を上げるか | 専門領域の成果物 |
| コンサルタント | この課題の答えは何か | 提言・報告書 |
| 事業推進リーダー | そもそも何をやるべきか。誰を巻き込めば動くか | 事業が前に進んだという事実 |
なぜ多くの企業で事業推進リーダーが不足するのか
結論から言えば、推進力は研修では身につかず、実務の中でしか育たないのに、実務の中で育てる設計が存在しないからである。多くの企業は「優秀な人を採る」か「研修を受けさせる」の二択で考えるが、どちらも推進力には届きにくい。
私たちが経営者から実際に聞く言葉は、ほぼこの3つに集約される。
- 任せられる事業責任者がいない
- プロジェクトを動かせるマネージャーが育たない
- 結局、社長しか意思決定できない
この3つはいずれも「人材の質」の問題に見えるが、構造を見ると別の事情がある。推進の経験は、失敗が許される実案件の中でしか積めない。しかし実案件は失敗コストが高いため、経験の浅い人には任されない。任されないから経験が積めず、経験がないからさらに任されない。この循環が、社長への一極集中を生んでいる。
事業推進リーダーに必要な能力は何か
私たちは7つの能力で捉えている。重要なのは順序で、上から3つ(課題発見力・構造化力・仮説構築力)が欠けたまま実行力だけを鍛えても、間違った方向に速く進むだけになる。
- 課題発見力 — 与えられた課題ではなく、本当に解くべき課題を見つける
- 構造化力 — 複雑な事象を分解し、打ち手が見える形に整理する
- 仮説構築力 — 情報が揃わない段階で筋の良い仮説を立てる
- 巻き込み力 — 権限のない相手を動かす
- 意思決定力 — 情報が不十分なまま決める
- 実行力 — 決めたことを完了まで持っていく
- 経営視点 — 自部門の最適ではなく全社の最適で考える
事業推進リーダーはどう育てるのか
自社の実案件を題材にし、課題設定から実行・巻き込み・振り返りまでを実務の中で行うことが唯一の方法である。架空のケーススタディでは、巻き込みも意思決定も本物にならない。修了時に残るべきは受講記録ではなく、実際に前に進んだ案件と、それを動かした経験である。
Enable Partnersでは、この考え方を「Enablement Design Method」という5つのフェーズに整理している。Define(意味定義)、Design(構造設計)、Execute(実行)、Enable(内製化)、Systemize(仕組み化)の順に進め、最後は外部が抜けても回る状態をつくる。
実際の支援では、たとえば大手グループのIT子会社で新設のアカウント営業組織を立ち上げた事例がある。会議体・KPI・商談の型(プレイブック)を設計し、6週間のオンボーディングプログラムを構築した。ポイントは、私たちが代わりに動くのではなく、現場のチーフ自身が会議を回し、メンバーが「次の一手」を自分の言葉で言える状態まで持っていったことである。詳しくは支援事例を参照してほしい。
研修やコンサルティングとは何が違うのか
研修は知識を教え、コンサルティングは答えを示す。事業推進リーダーの育成は、答えを出すプロセスそのものを本人に経験させる点が異なる。支援終了後に残るものが決定的に違う。
| 渡すもの | 終了後に残るもの | |
|---|---|---|
| 研修 | 知識・フレームワーク | 受講記録 |
| コンサルティング | 分析・答え | 報告書 |
| 業務委託 | 実行の手 | 成果物(再現性は残らない) |
| 事業推進リーダー育成 | 問いと進め方 | 推進できる人材と、前に進んだ案件 |
私たちが提供しているEnable Bootcamp(事業推進リーダー育成プログラム)は、この考え方を形にしたものである。まず現在地を把握したい場合は、Enable Assessment(事業・組織の現状診断プログラム)から始めることもできる。
よくある質問
事業推進リーダーは何年で育ちますか?
テーマの難易度と本人の経験によりますが、実案件を題材にした場合、6ヶ月で「自分で課題を定義し、関係者を巻き込んで一つの案件を前に進められる」状態までは到達できます。経営視点まで含めた完成形には、複数テーマの経験が必要です。診断では90日単位の育成ロードマップを設計します。
どういう人を候補者に選べばよいですか?
成績上位者より、「自分の担当範囲の外側に関心を持っている人」を推奨します。推進力は権限のない相手を動かす力なので、越境する意欲が出発点になります。営業責任者、DX推進責任者、マーケティング責任者、新規事業責任者、部門長候補、次世代マネージャーが典型的な対象です。
社内に教えられる人がいなくても育成できますか?
できます。むしろ社内に前例がないテーマほど、外部の専門知見を持つイネーブラーが問いと進め方を示しながら、本人に手を動かしてもらう形が有効です。イネーブラーは代わりに作業する役ではなく、育成を担うコーチ・ファシリテーターとして関わります。
研修予算と事業予算のどちらで実施すべきですか?
目的によって変わります。人材の育成が主目的なら人材開発・研修費、特定の事業テーマを前に進めることが主目的なら経営企画・DX推進・事業開発・マーケティング・営業改革などの事業予算が適切です。初回相談で、社内説明に使える整理をお渡ししています。
効果はどう測ればよいですか?
「支援期間中に前に進んだ事業テーマ」と「支援後に社内に残ったもの(推進できる人材、判断基準、進め方、ナレッジ)」の2つで捉えることを推奨しています。スキルの伸びについては、Enable Score により、どのスキルがどの程度身についたかを可視化できます。
Enable Partnersについて
Enable Partners合同会社は、神奈川県横浜市に拠点を置く、事業推進リーダーを育成し組織変革を実現するEnablement Company(イネーブルメント企業)です。コンサルティング会社でも研修会社でもなく、企業の実際の事業課題を題材に、事業を前に進められる人材を組織の内側に育てます。
- 事業・組織の現状診断: Enable Assessment
- 事業推進リーダー育成プログラム: Enable Bootcamp
- 経営・事業変革プロジェクト支援: Business Enablement
初回相談(30分)で、現在の事業課題・組織課題・育成したい人材像を伺い、どこから始めるべきかを整理します。お問い合わせはこちら。